マフラーを支えるステーはタンデムステップで1点留めだけだったので、O2センサーを外せば簡単にマフラーは外せました。不満だったステーが足りない点が今日はメリットになりました。
取り外したマフラーです。取り外してよく確かめると色々な箇所が気になりました。以前デコボコの高田氏がこう仰ってました。遠目から見るとカッコいいけど近づくと・・・ 残念ながらその典型例はこのマフラーだと思います・・・。
5,000kmも乗ってないのにこの退色や変色具合を見て頂きたいです。バイク屋さんの自家塗装で走って熱入れする事を勧めている記事がありますが結果はこの通りです。走って熱入れなんて出来る訳がありません。
この塗装はWAKO'S HR-B 耐熱塗料の缶スプレーです。20万円掛けたワンオフマフラーのコーティングは缶スプレーだったのはとても残念でそして不愉快極まりないです。
マフラーがステップに当たっているのでこのように塗装が剥げ落ち錆が出ました。マフラーがバイク本体のどこかに当たっているなんて有り得ないと思います。これを発見してもうワンオフカスタムは止めようと思いました。
上側と下側のマフラーを連結部分です。連結用ステーが右に向かって傾いている上に2本のステー自体の長さも違いませんか? 恐らくこれは採寸や設計は先に作図もぜずにいきなり現物合わせの行き当たりで作っているのでしょう。
パイプ口径が首下から何故か太くなる。これはBAD LAND、MACHERIE系のワンオフマフラーあるあるです。シャシーダイナモで計測したところ純正マフラーよりもパワーが出ていないのに何故エキゾースト径を1、2mm太くしたのか意図が分かりませんでした。
2in1の繋ぎパイプ加工は双方のパイプ口に全然合っていないので排気漏れを起こしていました。エキゾースト側の開口部の口径が小さい理由は何故でしょうか。意図的に排気を絞る? そんな訳ないですよね。単に面合わせしなかったと推測します。
こちらは上側。こちら側も口径は合ってません。
サイレンサーを開けてバッフルを取り出してみたところ、とても簡素な市販の汎用サイレンサーが入っていて驚きました。製作前の設計図面では多段膨張式サイレンサーをワンオフ制作すると伺っていたので裏切られた様な思いでした。
サイレンサーについて少し掘り下げます。ホームコースの箱根のようなワインディングにトップスピードやピークパワーは必要ないので、ショップは多段膨張式タイプは消音効果も高くトルクも出し易いと勧めたし僕もそう同意したと記憶してました。それなのに何故断わりもなくストレートタイプに変更したのか。更にサイレンサーに消音材が巻かれていないので音量も大きめでした。
このバイクを購入した時からずっとお付き合いしているので僕の好みを知らなかったとは思えません。恐らく途中で作る気持ちも時間も無くなってしまったのだと思います。
お客さんと相談・同意していた事項を断わりもなく変更し納品するのは普通なら契約違反です。ばれなければ何でもアリな安易な考えは金輪際止めて頂きたいです。
マフラー口金の加工処理です。面取りも曲げ加工も純正より雑です。純正マフラーの口金は作業性を考慮してちゃんと丸めてあります。
エンブレムだけが立派に見えてしまい虚しい気持ちになって泣きたくなりました。
最後にエキゾーストシールドも破損が激しいです。熱で焼けて破損したのではなくショップでマフラー取り外し・取付けの際にこじってしまったのでしょう。純正パーツ番号は64971-09です。この際新しいのに取り替えたいと思います。
このマフラーは単に車検対策の為に外すのではなく、排気漏れ、熱すぎる、汚い塗装、煩くて疲れる音量、シャーシダイナモ測定で純正マフラーより劣る性能とネガティブな点が多いので外す事にしました。これで製作日数219日価格20万円です。ひどい買い物となってしまい心底残念です。
ここを読むと怒りが湧いて来る気持ちと呆れた気持ち、そしてボロボロにしてしまった自分の愛車への悲しい気持ちが入り混じりました。
「手間を惜しまない職人気質な同店」
「妥協の無い物作りで支持を集めている」
「流れるようなメタルワーク」
このコピーを読んで言葉を失いました。
これを読んだワンオフカスタムを考えているライダー、そしてカスタムバイクビルダーの皆さんはもう少しカスタムのあるべき姿を今こそ立ち止まって考えて欲しいです。