2016/10/27

なぜbrembo ラジアル RCS マスターシリンダー用ミラーホールピボットピンのキャップボルトは壊れたか

 カスタムショップで製作したbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーのミラーホールピボットピン用のキャップボルトが壊れました。赤色線をひくとネジ山の潰れ方や箇所がよく分かり、ちょうどナット辺りが潰れて細くなっているのが分かります。またこのキャップボルトがbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーの本体も削ってしまいました。


 brembo ラジアル RCS マスターシリンダーを使い始めて2年でここまでネジ山が潰れてしまいました。ここ2年はもっぱらMAZDAターンパイクラウンジ往復ルートが僕のホームコースなので100km/1回です。去年今年の冬季は春まで全く乗りませんでしたし、今年春からはウインカーハイフラッシャーやこの件があるのでほとんど乗ってないので、走行距離を計算するとシーズンで200km/月程度、オフシーズンは50km/月程度、3,000km/2年程度の走行距離です。たった3,000km位で壊れるようなカスタムは本当に危険で、レバーピボットの故障は命に関わる重要部品です。



 ご参考としてrizona BS711ミラーアダプターの構造についてはこちらを参考にして下さい。



 ここで、どうして壊れたのか考察します。

 キャップボルトの呼び経がピボットピン経と合っていないからです。 brembo ラジアル RCS マスターシリンダーのピボットピンは直径Φ8mmで、キャップボルトの呼び経はM6です。この2mmの隙間が原因です。


 クラッチ操作・フロントブレーキ操作するとこの2mmの隙間内で部品がぶつかり合って削ってしまいす。レバーを操作すればする程、brembo ラジアル RCS マスターシリンダーが削れていく・・・。最悪です。


 では、何が理想なのか。

 まずその前にbrembo純正のレバーピボットの取り付け方法からおさらいです。brembo ラジアル RCS マスターシリンダーに印した赤色枠にレバーピボットを入れるイメージです。レバーピボットの円筒部はφ8mm、ネジ部の呼び径はM6です。これは特に問題ありません。


 次にbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーのミラーピボットの真上にrizoma ユニバーサル ミラーアダプター BS711を追加します。両方をネジ留めするには赤色枠のようなイメージです。
rizoma ユニバーサル ミラーアダプター BS711のネジ穴サイズはΦ13ですがネジ部分はM10x10mmです。つまり小頭のキャップボルトしか使えません。


 つまりbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーrizoma ユニバーサル ミラーアダプター BS711を取り付けるにはカスタムショップが採用したような1本のネジで留めるのが簡単ですが、両方を留めるにはこのような2段の段付きでしかも小頭キャップボルトを作らなければなりません。2段の段付きシャフトなんてどこにも売っていないのでワンオフするともの凄く高価になります。


 更にこのような特殊ネジを製作出来たとしても致命的な欠点があります。このままではミラーはネジ留めされていないのでくるくる回ってしまいます。ミラーが回らないようにネジ増し締めすると今度はレバーがキツくて動かなくなります。これでは危ないです。


 ミラーがくるくる回るのを防止する為に、ミラーアダプターの底面と、マスターシリンダーの上面にピン穴を打ってピンを挿して固定しています。ピンを打って固定する事で問題があります。(図の赤色がピン打ちです。)


 ピンを打ってミラーアダプターを固定する事で何が問題なのか。ミラーアダプターを固定する事でミラーに映る範囲が左右に広がらなくなります。
何故バイクの左ミラーには右ねじを、右ミラーには左ねじを使う理由を思い出して下さい。万が一何かにぶつかった時に進行方向へミラーが回転し衝撃を逃す事で事故や転倒するリスクを減らすからです。だからミラーアダプターをピン打ちで固定するのは好ましくないです。

 では、カスタムショップが製作したキャップボルトを見てみます。M8キャップボルトをダイスでM6にねじ切りしています。


 頭径部M8のM6キャップボルト1本で上から下まで通すようになっています。つまりミラーはネジ留めせずbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーのレバーだけネジ留めして全部まとめて取り付けるようにしています。


 前述した通り、1本のキャップボルトでネジ留めするには、ミラー回転防止でbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーrizona BS711ミラーアダプターにピンを打たなければなりません。


 更にピン打ちでミラーアダプターのミラーホールを変形させてしまいΦ10以下になったのでM10ネジが通りません。(赤色枠) 変形させてもM6キャップボルトは細いので干渉しないから恐らく黙っていたんでしょう。


 本当に残念なカスタムで高価なbrembo ラジアル RCS マスターシリンダーが勿体ないです。いつか開いたこの穴を埋める修正をしたいです。


 しかもブレーキ側はピン打ち穴が2つ開いています。恐らく一度目のピン打ちに失敗し二度打ちしたのだと予想されます。こんなカスタムは二度としたくない。


 そこでコーケンのbrembo RCSマスターシリンダー用ミラーホールピボットピンです。(逆ネジ用はこちら)


 コーケンはミラーピボットピンとレバーピンが合体しています。ミラーピボット部分はM10-13mm 1.25Pで右ミラー左ミラー用に合わせてちゃんと右(正)ねじ左(逆)ねじタイプの両方が用意されています。


 レバーピン部分はbrembo純正と同じく段付きΦ8-29mm+M6x19mm-1.0Pです。上側はミラー取付位置が高くなってしまいますが、これでネジが2箇所になるのでミラーを安全に固定しつつレバーも固定できます。


 段付きボルトであるのも理由があります。円筒部(ショルダー)はΦ8mmでキツめですがちょうど入るようになっており、bremboのこの隙間は21.5mmでKOHKENのミラーピボットはこれにバッチリ合う寸法になっています。


 バイクは安全第一のカスタムをしましょう。