作業はマニュアルの(1)にあったステアリングステムベアリングのアウターは既にカッターで切断・取り外し済なので、その次から始めます。(これが原因で後に一悶着起こすとは想像してませんでした。)
キズ防止のプロテクターカップをステムの上に置きます。
プーラーのねじを最大限戻した状態でチューブをプロテクターカップごとステムに被せます。
えっ! 止めねじ穴からステムを覗いてみるとチューブがベアリングまで届いていません。まさかまさかのチューブ長が足りなくてベアリングに被せられません。でたー、間抜けなアメリカ製工具。いい加減過ぎるわ。
深呼吸して落ち着いてから説明書を読み返して使い方が間違えないか等色々確認したり何度か試しましたが、やはり短いものは短い。届かないものは届きません。(苦笑)
プロテクターカップを外してチューブを被せると僅かながらベアリングに届きますが、これではプーラーのネジを締めた途端にステムはキズだらけになるでしょう。ステムは容易に交換出来る部位ではありませんので絶望的です。ここで改めてホームページで確認し直しましたが、確かに工具購入先のホームページにもVRSC対応と書いてあります。(2017/04/11にも改めて確認しました。)
本当に届かないのか計測することにしました。チューブの内寸長は215㎜でした。
チューブ内寸である215mmをステムに当ててみると・・・。やはり全然届きません。チューブ内寸長215mmだけでベアリングにぎりぎり届くか届かないかです。止めねじ位置はもっと短いし、更にプロテクターカップ厚も入れると・・・。
しっかり安全確実に作業出来てこそ工具です。それが工具としての当たり前です。「ぎりぎり」「かも」と言う言葉は工具の世界には在ってはならない事ですよね。
チューブ長なんて少々長くても困らないのだから、Motion Proは何故250mm位に余裕もって作らないのか理解出来ません。恐らく単にベアリング部品番号の適合だけを確認してVRSC対応と謳って、Motion Proはこの工具を使って実際にV-RODで試したことないのだと思います。
ステムにチューブを被せた状態です。御覧の通りベアリングまで届きません。チューブの端さえ届かないのでそれよりも内側にある止めねじは尚更届きません。
結局購入した先にこの工具の不具合内容とこれらの写真と共にメールして返品しましたが、メール後に販売店より電話がありました。返品拒否されるのかと思ったら、なんと「写真見たけど既にベアリング外れてますよね?」と拍子抜けする事を言われてしまいました。工具の使い方を分からないまま販売しているんですね。どうしてHarley-Davidson業界はこんなにいい加減なのでしょうか。
最後に実際にこのベアリングリムーバーを使ってみた感想です。
止めねじ方式のステアリングステムベアリングリムーバーはお勧め出来ないと感じました。プーラーを締めて引き上げようとすると、止めねじがプーラーの引き上げ力に負けてしまいどうしてもねじが緩みます。かと言って緩み防止に止めねじをきつく締めると今度はステムを傷付けかねないので、どちらもあまり好ましい状況ではありません。
更にこの止めねじは1回使用する毎にどうしても潰れてしまうので再使用にはあまり適しません。だからこの止めねじ方式のベアリングリムーバーはオプションとして止めねじだけを売っています。いちいち止めねじを購入するのも面倒です。
更にこの止めねじはインチサイズです。ミリサイズならば街のDIYショップ、ネジ屋さん、工具屋さんで容易に購入出来ますが、こんなインチ止めねじを在庫している所もあまり無いでしょう。
ステアリングステムベアリングリムーバーはこのようなプレート方式が一番安心で確実に作業が出来ると思いました。